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映画「あの頃。」感想 誰かを推すという事、社会人にとっての「卒業」の意味

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ハロープロジェクトの熱烈なファンの実話を元に描いた「あの頃。」を見ました。

残念ながらコロナの影響でタイミングも悪く劇場で見逃してしまったのでNetflixです。

個人的には

・アイドルオタクが主人公

・今泉力也監督の最新作

という理由で見たかったのですが今泉監督がアイドルオタクをどのように撮るのか非常に興味がありました。あまりこの2点が結びつかないですからね。

そして見終えて見るとやはり「劇場で観ておきたかった」と悔しいきもちが強くなりました。

この作品はアイドルファンはもちろんのこと、アイドルでなくても何かしらの推しがいる人には感じるものがあると思います。

それでは感想行ってみましょう!

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あらすじ

大学院受験に失敗し、彼女もお金もなくどん底の生活を送る青年・劔。松浦亜弥のミュージックビデオを見て「ハロー!プロジェクト」のアイドルに夢中になった彼は、イベントで知り合ったコズミンら個性的な仲間たちとともに、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌する。しかし時は流れ、仲間たちはアイドルよりも大切なものを見つけて離れ離れになっていく。そんなある日、コズミンがガンに冒されていることを知った劔は、かつての仲間たちと再会を果たすが……。

映画.comより

 

「あの頃。」予告編

スタッフ・キャスト・原題・上映時間など作品情報

監督
今泉力哉

キャスト
松坂桃李/劔樹人
コズミン/仲野太賀
ロビ/山中崇
西野/若葉竜也
ナカウチ/芹澤興人
イトウ/コカドケンタロウ

上映時間
117分

公開日
2021年2月19日

映画.comより

「あの頃。」を見た感想

アイドルオタクたちの描写はとてもフラット

この映画はハロプロのファン6人のグループを描いた映画です。

予告編を見る限りそのアイドルオタクたちの微笑ましいやりとりを描いているように見えます。

たしかに物語の前半にはそういった描写はあります。

しかし、それだけではなくアイドルオタクたちの内輪話だとしても映画を見てる観客が引くようなシーンもある。

そのためオタクを一方的に愛おしくみせたり、逆に変な集団に見せるような偏りすぎないバランスで描かれています。

ライムスターの宇多丸さんは自身のラジオ番組でこれは監督がアイドルオタクではないからこそ適度な距離感で描けたのではないかと話をされてましたね。

個人的に一番のお気に入りは冒頭のシーン

「落ち込んでる時に聞くアイドルソングは麻薬ですよ」

これは「劇場版モテキ」の中に出てくる私が大好きなセリフなんですが、この映画の冒頭、主人公の剱もとても落ち込んだ状態からスタートします。

そして一人部屋で落ち込んでいると友人が松浦亜弥のPV集を貸してくれるんですね。

そして弁当を食べながらなんとなく再生した映像を見て剱は松浦亜弥に「ハマり」ます。

その時見ているのがこの曲「桃色片想い」です。

このDVDを見ているシーンがとにかくすばらしいかった。

ただ松坂桃李がDVDを見ている様子を撮っているだけなんですよ。一言もセリフはないし、動きもほとんどない。ただ見ているだけ。

それでもその顔、その眼を見るだけで嵌っていく様子が伝わってくるんです。

どん底の世界からアイドルに救ってもらったような感じというのか、きっと1曲のPVを見た事で世界が変わった瞬間なんだと思います。

大人になってからの「卒業」という出来事

アイドルは活動が刹那的なのが良いという人がいます。

それはプレイ期間が3年と限られている高校野球に例える人もいます。

劇中のセリフの中で社会人になると「卒業」というものがなくなる、と言っている。

女性アイドルグループの活動は特に刹那的でいまでこそ10年以上活動するグループがでてきましたが、少し前までは10年活動するグループはほとんどありませんでした。

ファンからしてみると応援している楽しいい時がずっと続けば良いのにと思いますが、それ(卒業)は突然やってきます。

高校生の卒業は三年後の三月にやってきますが、アイドルの場合はそれがいきなり来月くるかもしれない。

それどころか「先週のライブをもって卒業しました」というような形で発表があり後からあのライブが最後だったのか、と知ることすらあります。

アイドルは多くが10代から活動するため多感な時期ということもあり非常に不安定な存在です。

体力的やメンタル的に続けられなくなる場合もあれば、本人がやりたくても事務所側から解散させられる事もある。

とにかくその存在はいつなくなってもおかしくない状態で活動する。

卒業ライブ、当たり前の感情ですが、応援しているファンとしては推しには卒業してもらいたくないと思っています。

しかし、アイドルはいつか卒業するもの。

いつか卒業の時がくるとわかっているのに応援するのがファンです。

セリフにあるとおり学生が終わり社会人になると「卒業」というものを体験する機会はほとんどありません。

だからファンは推しを自分と重ねて「卒業」を体感したいのかもしれません。

だからどこかで「卒業」を求めているのかもしれない、と気づかされました。

物語の後半は仲野太賀無双

後半はアイドルオタクという人物たちの話ではなくそのコミュニティ内での人間関係の話にシフトしていく。そのためアイドルという要素はほぼなくなります。

そして物語の中心は主人公劔ではなくアイドルオタク仲間の一人であるコズミンになっていきます。

そして仲野大賀の一人舞台になっていきます。

物語の後半、コズミンは肺ガンを宣告されます。

闘病しながらもアイドルやアニメへの熱は失わず、オタク仲間たちと変わらず過ごしますが、しばらくしてガンが骨に転移している事がわかります。

この転移の説明を受ける際の仲野太賀の表情が素晴らしかった。冒頭の松坂桃李がDVDを見ている表情といい勝負です。

そして物語的にも演技でも完全にコズミンが物語を食っていきます。

最近はとりあえず仲野太賀が出ている作品を見ておけば間違いないようなところがありますね。

まとめです

今回は見て色々と卒業について思うところがあったので殴り書きのような形で書いてしまったので読みづらいかもしれません。

それでも見終えた直後の感想を忘れる前に焼き付けておきたいと思い書いてみました。

映画って見終えて二日もすれば面白かった、つまらなかったくらいしか感想が残らないので鑑賞直後の鑑賞を残しておくのは必要かなと思って書いてみました。

おしまい。

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