「シャン・チー テン・リングスの伝説」を見ました。
マーベルの一連の映画シリーズMCU(Marvel Cinematic Universe)では前作ブラック・ウィドウからフェイズ4というあらたな展開に入っています。
ブラック・ウィドウは時間軸ではシリーズの大きな区切りとなった「エンドゲーム」よりも前のお話でした。
フェイズ4の映画2本目となる本作はエンドゲーム後の世界を描いているのでいよいよ先の世界に進んでいくことになります。
とはいえフェイズ3の最後の作品となったスパイダーマン ファーフロムホームはエンドゲーム後の世界が舞台でしたし、
ディズニープラスで展開しているドラマシリーズもエンドゲーム後が舞台なのであまり新鮮な気持ちはなかったですね。
本作はMCUでは久しぶりに新しいヒーローが登場する単独映画です。
考えてみるとミス・マーベル以来なので2年半以上ぶりなんですね。
シャン・チーは20年以上映画化するキャラクタの候補の一覧に上がっていたそうで満を辞して登場です。
そしてMCUでは記念すべきアジア系ヒーローが初登場という点でも重要な意味を持つ作品です。
それでは行ってみましょう!
目次
あらすじ
犯罪組織を率いる父に幼いころから厳しく鍛えられ、最強の存在に仕立て上げられたシャン・チー。しかし心根の優しい彼は自ら戦うことを禁じ、父の後継者となる運命から逃げ出した。過去と決別し、サンフランシスコで平凡なホテルマンとして暮らしていたシャン・チーだったが、伝説の腕輪を操って世界を脅かそうとする父の陰謀に巻き込まれたことから、封印していた力を解き放ち、戦いに身を投じる。「アイアンマン」シリーズなど、これまでのMCU作品で名前が登場していた犯罪組織「テン・リングス」の謎が明らかにされる。
「シャン・チー」予告編
スタッフ・キャスト・原題・上映時間など作品情報
監督
デスティン・ダニエル・クレットンキャスト
シャン・チー(ショーン)/シム・リウ
ケイティ/オークワフィナ
シャーリン/メンガー・チャン
イン・リー/ファラ・チャン
イン・ナン/ミシェル・ヨー
マンダリン/トニー・レオン原題
Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings上映時間
132分公開日
2021年9月3日
シャン・チーを見る前に復習がオススメの作品
MCUは全ての作品が同じ世界の出来事として描いているので他作品のキャラクタが頻繁に登場します。
なので全作品を見るのが好ましいのですが、現時点で映画だけで25作品あるので毎回すべて見るのは現実的ではありません。
「シャン・チー」本編には以下の作品に出たキャラクタが登場するのでこれを見ておくとより楽しめると思います。
私は何も復習しないで行ったので、あるキャラクタが出てきたときはどこで出てきたキャラクタだったかなとわかりませんでした。笑
アイアンマン3
MCU全体で見るとアイアンマン2,3は存在感が低い印象があります。しかし、本作ではアイアンマン3に登場したキャラクタが出てきます。
正直、そのキャラクタのことは覚えていなくてあとで調べて知りました。(劇場で見たはずなんですけど・・・)
ドクターストレンジ
シャン・チーの後に公開予定のスパイダーマンにドクターストレンジ本人が登場したり、その直後にはドクターストレンジの続編が公開されるなど今後の超重要人物と予想されています。
本作にもドクターストレンジ本人は登場しないものの関係者が登場しますので見ておくことをおすすめします。
シャン・チーを観た感想
シャン・チーはMCUの入門に最適の一本
MCUではフェイズ4がここから始まるといっても過言ではありません。
フェイズ3ではそれまでの10に渡るMCUの歴史でも大きな区切りがつき、ここから新たな展開を見せるところです。
マーベルの映画は興味あるけどたくさん作品あるから追いかけづらいな、という人もここから見ていくというのもありだと思います。
MCUはリアルタイムで作品を追いかけていくのが一番楽しいので劇場で最新作を見ながら、過去作も少しずつ見ていけば楽しめると思います。
さらに今回は新しいヒーローが登場する話でもあるのでハードルはかなり低いと思います。
シャン・チーは武侠映画ではなくファンタジー映画だった
私は映画を見る時予告編以外の情報は極力入れないようにしています。
そして今回も予告編の情報しかない状態で見ました。
てっきりアジア系のヒーローで中国っぽいアクション満載ということで、チャン・イーモウの「HERO」やジョン・ウーの「レッドクリフ」のようなワイヤーを使って人がフワフワ飛び回る武侠映画的なアクションが見られるのかなと思っておりました。
どちらもトニー・レオン出てますし。
しかし、実際にはそうではなくてカンフー系の格闘アクションでした。
シャン・チーでは格闘している途中にお互いの顔がくっつくくらい近づいてスローモーションになり目で会話をしているようなあの中国映画独特のアクションが多く出てきます。(伝わりますかね・・・)
ハリウッドのカンフー系アクションだとマトリックスが有名ですが、あれはカンフーアクションでもそういった中国アクション独特の雰囲気はないですよね。
それが「シャン・チー」ではしっかりと中国映画を見ているような感覚になりました。
そして後半になると思いっきりファンタジー映画、それこそロードオブザリングの中国版のような世界観になっていきます。
人と人のカンフー対決から人とモンスターとのバトルへ変わっていきます。
この展開も正直思ってたのと違ったので面食らったのですが「あ、こういう作品だったのね」と頭を切り替えたのでそれからは思いっきり楽しむ事ができました。
メインの3人のキャラクタが最高
本作では主人公であるシャン・チー、その妹であるシャーリン、そしてシャン・チーのアメリカでの友人であるケイティの3人がメインキャラクタです。
この3人がとにかく良かったです。
その中でも特に人気が出そうだなと思ったのがオークワフィナ演じるケイティです。(上の画像で一番右の人です)
シャン・チー、シャーリンの兄妹は幼い頃から暗殺者になるために父親に鍛えられいるため、格闘術な武器の扱いに長けています。
一方、ケイティはスーパーパワーを持っていない一般人です。
シャン・チーは10代の頃にとある事情で単身アメリカに渡りますがそこで仲良くなり現在は同じ職場で働き家族とも親しくなっています。
ケイティの自宅で長勅をたべ、おばあちゃんが「ケイティといつ結婚するんだい?」と聞いてくるくらいの間柄です。
ごく普通の一般人であるケイティはやりたい事もとくにありません。
新しい事をはじめても極める事はせず、なんとなく雰囲気がつかめたらやめてしまう、そんな普通の人物です。
スーパーヒーローの世界のことも何も知らないから観客が一番感情移入しやすいポジションです。
それまで何となく生きていてスーパーパワーのない彼女がシャン・チーと冒険をすることで自分の役割を見つけ活躍する姿はとても熱いです。
そんなメインの3人をガッツリサポートするように脇を固めるのがシャン・チー、シャーリンの父親マンダリンを演じたトニーレオン、そして叔母を演じたミシェル・ヨーらレジェンド級の俳優さんです。
彼らがいるおかげでシャン・チーの世界に重厚さと納得感が増したように見えました。
それと同時にこれから成長していく3人の新米ヒーローをMCUの世界で暴れまくってこい、と送り出しているようにも見えました。
何となくですが主演が新人で豪華俳優が脇でフォローしながら世に送り出す日本の朝ドラみたいなだなと思いましたね。
今回はシャン・チーとしては一作目なので「誕生編」という位置づけです。
個人的には他の作品とクロスオーバーさせる前にもう一本このメンバだけのお話「シャン・チー2」が見たいですね。
シン・エヴァを彷彿とさせる親子関係
ヴィラン(悪役)がヴィランらしくないのが本作の特徴かもしれません。
「ブラックパンサー」もそうでしたがヴィランにも感情移入ができる事情があります。
本作では父親であるマンダリン(トニー・レオン)がヴィランですね。
MCUのすべての始まりである1作目のアイアンマンでトニー・スタークがテロ組織に拉致されそこで重傷を負い、それがきっかけでアイアンマンが誕生します。
そのテロ組織「テン・リングス」を作ったのがこの父親であるマンダリンです。
マンダリンは永遠の命とリング状の武器を使った圧倒的なパワーでテン・リングスを率いています。
マンダリンはとある出来事で亡くしてしまった奥さんを取り戻すために自分の組織「テン・リングス」を使ってなりふり構わず破壊工作を行います。
それを息子であるシャン・チーたちは止めるために奔走することになるのですが、
見ていて「この自分勝手な父親ののせいでみんなが迷惑してるな。」と思ったんです。
そして「あれ、最近他の作品でも同じ事思ったな」と気づいたんですよね。
しばらく考えてわかりました、エヴァです。
シン・エヴァンゲリオンを見た時に全くおんなじことを思ったんでした。
亡くした奥さんと再び会いたいという個人的な理由に周りの人たち、世界が被害を被る。
そして息子がそれを止めようとする話。
まったく同じです。
家族の話、親子の話というのは物語としては絶対に語られるものですが、ここまで一緒なのは何気に珍しい気がします。
他のキャラクタの立ち位置なんかは全く違うのですが、物語の背骨にあたる部分が被るのは面白いなと感じました。
めんどくささでいったら全人類を巻き込んだゲンドウ君の方が上ですね。
シャン・チーを見てて嫉妬しました
「シャン・チー」はアジア系ヒーローとはいえ、中国がベースです。舞台や俳優陣だけでなく監督などのスタッフ陣もアジア系の人たちが揃っているんですね。
ブラックパンサーでは黒人系スタッフをそろえ、「キャプテンマーベル」も女性監督を起用したように、
その作品のエッセンスが一番わかる人選をしているのが特徴です。
そういった流れを見てると思ったのが将来的に日本人のヒーローも登場してもらいたい、という事です。
MCUで殺陣なんかの剣術アクション(エンドゲームに真田広之が出てましたし)や忍者のアクションを使ったヒーロー映画を作ってもらいたい。
サムライやニンジャは世界で人気なんだからぜひお願いしたいです。
たしか数年前に日本人のヒーローが原作コミックスに登場してましたよね。
それだけでなく他にも世界中のアクション(「ザ・レイド」のシラットやインド映画の歌って踊るアクション)など、
どんどん古今東西のアクションを巻き込んでいってもらいたいですね。
シャン・チーの残念だった点
物語はアメリカで一般人として生活しているシャン・チーがテンリングスから襲撃をうけるところから始まります。
そこから舞台は妹のシャーリンを求めて中国のマカオへ行くのですがすぐに見つかります。
そこでもテンリングスの襲撃があるのですが、そこであっさり父親のマンダリンが登場します。
組織のボスなのに最前線に出てくるんですけど、あっさりしすぎて拍子抜けな感じがありました。
また中盤にはほとんどの設定や人間関係がわかりますが、そこで話の展開はほとんど読めてしまいます。
とはいえここは1作目なのでシンプルにしているのかなとは思いますけどね。
まとめです
1本のヒーローオリジンものとして成立させ、かつMCUの世界にもきちんと組み込んでいく見せ方はもはや職人技です。
見てるこっちは慣れてしまって感覚が麻痺してますが、こういった話の見せ方はほんとうまいですね。
ドラマではなく映画でやってるわけですからね。
まだシャン・チーも彼を象徴するリングを使った戦いになれていない状態でのお話でした。
次回からは使いこなした状態になるはずです。
洗練されたスーパーアクションが見れるのかと思うと楽しみでしかたありません。
おしまい。
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