「音を立てたら、即死」のキャッチコピーでおなじみ「クワイエット・プレイス」を観てきました。なんとも素晴らしい映画体験ができる作品でした。
まずこの映画を100%楽しむには劇場で観る事が必須です。
それは中身だけでなく劇場の雰囲気もこの映画の一部だからです。
だから後日DVDや配信で観るものは不完全版を観ているようなものなのでできる限り劇場版で観る事をオススメします。
はい、それでは予告から行ってみましょう。
目次
フタッフ、キャスト
監督 ジョン・クラシンスキー
製作 マイケル・ベイ
アンドリュー・フォーム
ブラッドリー・フラー
製作総指揮 ジョン・クラシンスキーキャスト
エミリー・ブラント/エヴリン
ジョン・クラシン/スキーリー
ミリセント・シモンズ/リーガン
ノア・ジュプ/マーカス
ケイド・ウッドワード
感想(少しネタバレ)
クワイエット・プレイスの世界のルール
キャッチコピーが「音を立てたら、即死」とある通り、音を立てるとその音を立てた人(動物)は死んでしまう(どうやって死んでしまうかはネタバレになるのでここでは伏せます)世界でとある4人の家族(父、母、長男、長女)が生き抜いていくお話です。
元々は普通の世界だったのがとある事がきっかけで音を出す事ができない世界に変わった事が前半でわかります。音を立ててはいけないのですが、実はほんの少しなら音を立てても大丈夫なルールになっています。まあ、人が動けば必ず音がでますからね。そうしないと映画として成立しません。
このルールの説明はアバンタイトル(映画のタイトルが出る前のプロローグ部分)でとても自然に行われます。
また、自然の音はノーカウントです。川や滝、風の音は生き物ではないので関係ありません。川や滝の近くであればその音よりも大きな音を出さなければ大丈夫です。だから大きな滝のなら大きな声で会話をする事ができます。
とはいえ、人が動けば必ず音が出ると書いた通り、すべての行動に音を立てる可能性があるわけで緊張しない場面がないわけです。だから観ている間はかなり疲れました。
もしも音を立ててはいけない世界で生活をしたなら
そのような世界、環境で生活するとどのようになるのか。
まず人同士のコミュニケーションは手話や囁きのような極々小さい声での会話になります。そして基本的にみんな裸足、身に付ける道具も音が出にくい布製の物になります。洗濯も洗濯機を使ったら即アウトなので手洗いです。音楽はイヤフォンを使えば聴く事ができます。
この映画を観ている間、自分だったらどう生活するか考えてしまいました。おそらく観ている人はみんな考えると思います。
何か物を落としてしまったらアウトなので必要な物はすべて床に並べるな、とか。
普段とは逆で台風が来た時が行動するチャンスだな、とか。
寝ている間のいびきやオナラ対策はどうすべきか、とか。
びっくりした時などとっさの時に声が出ないように口をテープで塞いでおくな、とか。
とにかく色々考えてしまいます。その考えることもこの映画の楽しみの一つだと思います。
究極的に難易度の高い「出産、子育て」
この4人家族、母親が妊婦さんなんですね。
大きいお腹のお母さんが出て来た時観ている人誰もが「ちょっと待て、赤ちゃんは生まれてすぐアウトでしょ」「てかその前に出産自体無理だろ」と思うはずです。
ただでさえすべての行動に緊張しているのに、中盤でその出産シーンが訪れるわけです・・・はいその通りです、とんでもない緊張の連続です。
出産をどう乗り越えるかの対策はあらかじめ充分に練ってあるんだろうな、と思って観てましたが、実際どうやって臨むのか・・・ここが劇中で緊張のピークに近いです。
静かにするのは客席も同じなのに・・・
音を立てては行けないので自然と客席もいつも以上に音を立ててはいけない雰囲気になります。この雰囲気がかなり独特でこの作品でしか作れない空間になります。だから劇場で観たもらいたいんですよね。
そんな中、私が観た時の事ですが、話の中盤くらいでしょうか、一人のお客さんが食べ物を出そうとしたのかわからないですがビニール袋を2分くらいずーっとガサガサとやっていました。
よくそういう事できるよな、と思うと同時につい「あなたはこの映画の世界の中に入ってビニール袋をいじってなさいよ」と思ってしまいました。
気になったところ
個人的には大満足でとても楽しめました。ただ、それなりに気になるところやツッコミどころはあります。
どれくらいの音を出すとNGなのかがいまいち分からない。
音を立てても周りに聞こえないようにずっと地下で生活すればいいんじゃないのか。
魚が音を立てたら魚は死んじゃうの?海の中の生き物は生きてるの?
などなど。まあ、そもそもホラー映画で目くじら立てても仕方のない事ですからね。色々とツッコミどころについて観た人どうしで話したりするのも楽しみ方の一つですね。
まとめ
音を立ててはいけないので劇中は会話はほとんどありませんし、静かな場面が続きます。
という事は映像だけでストーリーを描くしかないわけです。
「映像だけでストーリーを描く」というのは映画の原点です。
だから映画でしかできない事できちんと映画にしているという点、個人的に大好きです。
さらに駄目押しとして上映時間が90分というのもポイント高いです。これ以上長かったら観終わった時にぐったりしてしまうでしょう・・・
ドントブリーズ、ゲットアウト、IT、などここ数年ホラーが苦手な人でも楽しめるエンタメ度の高いホラー映画が多いですが、この系譜にまた一本加わりましたね。映画ファンにとって幸せな事です。