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映画「ミッドサマー」感想 これはスウェーデンでの異文化交流を描いたウルルン滞在記です

ミッドサマー

映画「ミッドサマー」を見ました。

ホラー映画「ヘレディタリー 継承」を撮ったアリ・アスター監督の2作目の長編映画ですが、アメリカでの公開から遅れる事半年近く。

ずっと楽しみにしていました。

予告を見た時から期待しかなかったのですが、その予告以外の情報は入れないで見に行ったところ思っていたのとは少し違う映画でした。

どう違うかというとホラー映画だと思っていたらそうではなかった感じです。

とはいえ満足度はかなり高いですし、オススメ度もかなり高いです。

公開日からTwitterではミッドサマーに関するワードがトレンドに上がっていたので話題性も高くなっている本作の感想を書いていこうとおもいます。

さらにネット配信も始まるのであらためて見ていきましょう。

それでは行ってみましょう!!

「ミッドサマー」あらすじ

不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。

彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。

しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。

映画.comより

 

「ミッドサマー」予告編

スタッフ・キャスト・原題・上映時間など作品情報

監督・脚本
アリ・アスター

キャスト
ダニー/フローレンス・ピュー
クリスチャン・ジャック・レイナー
ジョシュ/ウイリアム・ジャクソン・ハーパー
マーク/ウィル・ポールター
ペレ/ウィルヘルム・ブロングレン
サイモン/アーチー・マデクウィ

原題
Midsommar

上映時間
147分

公開日
2020年2月21日

映画.comより

「ミッドサマー」見ての感想

まずはじめに、

「ミッドサマー」私のオススメ度は85点です!!

TRICKかと思ったらウルルン滞在記だった

ミッドサマーの予告を見て自分で勝手に思い込んでいたのですが、この映画はカルト宗教の集団に巻き込まれる話なのかなと思っていました。

仲間由紀恵、阿部寛が主演の「TRICK」みたいな感じなのかなと。

そしたら全く違ったんですね。

カルト宗教に巻き込まれるのではなくこれは異文化交流を描いた映画でした。。

舞台はスウェーデン、ヘルシンキの山奥、昔ながらの土着的な信仰が残っている集落との交流を描いた作品だったんですね。

だからミッドサマーはホラー作品ではなく「世界ウルルン滞在記」なんですよ。

ウルルン体験をしたい方にはもってこいの作品です。

ウルルン体験つながりで私はこの映画を見ている時に「グリーンインフェルノ」という映画を思い出しました。

「グリーンインフェルノ」はジャングルの奥深くで生活している食人族と彼らの集落に迷い込んでしまった若者たちとのほのぼのとした交流を描いた人情あふれる映画です。

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グリーンインフェルに出てくる食人族さんたちは無邪気にたわむれてくるので少しだけやりすぎなところがあります。

文化が違うので若者たちは食べられてしまったりするのでそれなりのシーンがありますけどね。

見た目こそ違いますがミッドサマーも本質的には同じだと思いました。。

現在の私たちとは大きく異なる価値観、文化を持った集落の人との交流。

ただ、グリーンインフェルノでは食人族とはコミュニケーションがほぼ取れなかったのに対して、ミッドサマーでは普通に会話ができます。

普通に「オースティンパワーズを見ましょ」という会話をしていて文化の違いはそれほどないように見えます。

トラブルのすべての原因は友達のペレです

この映画でフローレンス・ピュー演じる主人公はすこしメンヘラ気質で交際中の大学生の彼氏に依存気味な女の子です。

その女の子と彼氏の男友達グループが舞台となるスウェーデンの集落に行く事になります。

なぜ行く事になるかというと男友達の中にその集落の出身者がいるんですね。

その男友達が集落の夏祭り(夏至祭)のために帰省するというのと、別の男友達がその集落の文化について卒業論文を書く取材に行くというのでじゃあみんなで旅行に行こうという流れです。

現地に着くと初日こそ楽しいお祭りだったのですが、2日目から雲行きが怪しくなります。

集落のみんなで食事をたべたあと、ある儀式が始まります。

その儀式ではその集落の最高齢のおじいちゃん、おばあちゃんがみんなに見守られる中、楽しそうに崖の上から飛び降りてしまいます。

それを見た主人公たちはまあ、驚きますよね。

そんな場面を目の当たりにしたら誰でも動揺しますよ。私もビビる。

なぜ飛び降りたのか、それはこの集落のルールに則っているからでおじいちゃん、おばあちゃんも納得の上で行っていることなわけですが。

主人公たち大学生グループはその後もさまざまなトラブルに巻き込まれ少しずつ後戻りできない状態になっていきます。

そんな状態になっていく理由はたったひとつ。

グループの中にいる、その集落の出身者ペレ。こいつがすべて悪い。

このペレ、こいつがなんにも集落の事を説明しないんですよ。

見てて途中で「お前いいかげんに説明しろよ」と思ってしまいましたね。

そりゃどこの国や地域にも独自のルールがあるわけじゃないですか。

特にこの集落は土着的なわけで他の地域以上にきちんと説明しないといけないわけです。

それなのに、何も説明しないので映画を見ている観客と同じレベルの知識しかないのに大変な目にあってしまうんですよね。

すべてはあのペレが悪い。笑

あいつが説明していれば大学生とはいえみんな大人なんだからそれなりに対応ができますよ。

常に不穏な空気全開なのが最高

「ヘレディタリー 継承」でもそうだったのですが、アリ・アスターの作品は音楽や効果音が良い意味で最悪です。なんでもない場面でも見ている側を常に不安で不快な気持ちにさせるのでみている間は常に緊張する事になります。

この映画はポスターや予告編を見ても分かるとおり雲一つない爽やかな陽気でとても明るい場面ばかりです。

それなのにどこか禍々しい雰囲気になっているのも音楽や交換音などの演出のたまものでしょう。

宿舎では夜になると常に赤ちゃんが泣いているのですが、泣いている理由とか赤ちゃん本人が出てくる事は最後までありません。

とにかくずっと赤ちゃんの泣き声だけが聞こえていると、それだけで不安な気持ちになってきてしまうんですよね。

不安な気持ちにならないとしても泣き声を聞いて安心した気持ちになる人はほとんどいないと思います。

クライマックスは祝祭感すら感じる

物語が進むにつれどんどんと悪い方向に進み、大学生たちがひとり、またひとりと酷い目にあっていきます。

そしてクライマックスでは主人公とその彼氏がターゲットになり、祭りのクライマックスを迎えます。

はっきり言って最悪な映像のオンパレードなのですが、見ていてもあまり嫌な気持ちにはなりません。

むしろ祝祭感があり、清々しい気持ちになります。

彼氏に依存していたものの、その彼にはあまり共感を得られずどこか孤独を感じていたのにこの集落の人は感情をみんなで共有する文化がありました。

泣いている時は周りの人みんなで泣いてくれるそんな共感力の高い村はどこかで居心地の良さを感じたのかもしれません。

そんな共感してくれる人たちが見つかった彼女にはもう彼は必要ありません。

だったらお祭りのクライマックスでお炊き上げしてしまおう、という事になります。

無事お炊き上げが終わったあと彼女はどこかスッキリしたような表情を見せエンディングを迎えます。

もしかしたら恋人やパートナーに同じような態度をとられている人が見たら主人公と同じようにスッキリするかもしれません。

見終えてから思い返して見ると「ゴーン・ガール」を見た時もこんな気持ちになったなと思いました。

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まとめです

ネット配信も始まったミッドサマー。

万人にはおすすめできない作品かもしれませんが個人的には大好きな映画です。

日本でもネット上で思った以上の盛り上がりがあり、ホラー映画では定番の一本になりつつあると感じますのでそう言った意味でも一見の価値はあるかと思います。

おしまい。

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